鍼灸師は、はりときゅうを用いて体のツボに刺激を与えて健康向上をサポートしてくれます。一般的には「はり師」と「きゅう師」は別の資格になりますが、多くの医院でははりときゅうはセットで施術するので、鍼灸師と呼ばれます。大きな特徴は、その治療が東洋医学に基づいている点です。東洋医学とは人間に元々備わっている自然治癒力を高めていろいろな症状を改善緩和していくやり方です。薬や湿布などは用いず、あくまでも自然治癒力にアプローチすることにこだわっています。それにより薬の副作用や体への負担などを減らすことができるでしょう。薬依存に不安を抱える人が、東洋医学へと移行するケースも多いです。薬を服用できない赤ちゃんや妊娠中の女性、薬アレルギーの患者にも人気です。また応急処置的な治療ではなく、長期に亘ってゆっくりと自分の体と向き合い改善していく点も、東洋医学と言えます。鍼灸師はマッサージ師ともまた異なります。マッサージは指圧ですが、はりときゅうを用いた施術はツボを刺激したりきゅうの熱で体を温めたりする方法です。筋肉をほぐして指圧する治療法とはまったく異なることも特徴です。そして柔道整復師のように、骨や関節を整復する施術ともまた違います。
初めて鍼灸師を利用するときはいくつか知っておきたいアドバイスがあります。人の体の自然治癒力に働きかける施術なので、もしも外科的手術が必要な症状の場合は当然のことながらはりやきゅうではなく整形外科などで手術しなければなりません。また感染症やウイルス性の病気を治療できる場所でもないです。激しい腹痛や吐き気といった症状も、内科や婦人科で原因を調べて適切な治療をする必要があります。何もかも鍼灸師が治せるわけではないことを頭に入れておくことが大切です。鍼灸の医院は、慢性化している痛みやこり、不調などを改善していくのに適しています。例えば激しい頭痛が数日続いてめまいがするならば、内科や脳神経外科を即座に受診して検査を受けるのが適切です。しかし慢性の片頭痛がもう何年も治らないという人は、はりときゅうによって頭痛しやすい体質改善をしていくことが可能です。頭痛は自律神経や女性ホルモンの乱れが関係している可能性もあります。はりときゅうで血行促進やリラックス効果を得ると、頭痛が改善する人もいるのです。このように、自身の症状に本当に鍼灸の施術が合っているのかどうかを見極めて、利用したいものです。